研究課題/領域番号 |
04301048
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡本 明 広島大学, 文学部, 教授 (90025057)
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研究分担者 |
柳原 邦光 鳥取大学, 教育学部, 助教授 (90239814)
秋田 茂 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (10175789)
槙原 茂 島根大学, 教育学部, 助教授 (00209412)
友田 卓爾 広島大学, 総合科学部, 教授 (70034824)
井内 太郎 広島大学, 文学部, 助教授 (50193537)
長田 浩彰 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40228028)
東田 雅博 東亜大学, 経営学部, 助教授 (50155496)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1993年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
1992年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | 文化ヘゲモニ- / ジェントルマン資本主義 / メリトクラシー / 帝政貴族 / 中流階級のアイデンティティ / シティ金融家層 / ソシアビリテ / ユダヤ人の同化政策 / 宮廷儀礼 / バスタード・フェーダリズム / ボナパルティズム / 文化的ヘゲモニ- / テクノクラト(支配) / カトリック支配 / 共和主義 / ジェントルマン / 君主儀礼 / バスタード・フューダリズム / グラムシのヘゲモニー論 / ナチ・エリート / テクノクラット(支配) / 文化的ヘゲモニー / 司祭と教師 / ミドル・クラスのアイデンティティ / 文化ヘゲモニー / 名望家支配 / ローカル・ヘゲモニー / プルトクラシー / 同化 |
研究概要 |
英仏独近代諸国家における支配のあり方を文化ヘゲモニ-概念を用い検討したもの。権力機構を通しての支配の代りに、説教・儀礼・象徴・メリトクラシー・結社・教育・宗教・労働組合等の文化手段や装置がどう利用されたか、エリート文化と民衆運動の関係はどうかを問うた。3年間の研究と討議の結果、次のことが明らかになった。イギリスではチェンバーの宮廷内部の機能分化に伴いジェントリの上層から宮内次官補に進出する者が現われ、王の私事を儀礼として執行することから社会的地位の上昇を実現する。18世紀末にはジェントリと民衆の互酬的な均衡状態の中に中流階級が割り込むが、これ自体ジェントルマン文化を吸収する部分と独立事業家への分裂を起す。ジェントルマン・パタ-ナリズムも鉱山経営・労働対策でみる限り1880年代の労働者自治の封殺へ転じ、新自由主義的国家の関与を準備する。世紀転換期にはロンドン金融家層がジェントルマン文化を吸引し、このエリート集団が海外進出を通じて下位中流層・労働者上層を統合する。かくして第一次大戦までジェントルマン・イデアルは支配的文化理念として存続した。これに比しフランスでは革命前のアノブリも帝政貴族も、貴族とブルジョワを統合する混合ゾーンとはならなかった。ただし帝政貴族は長子相続原理に支えられ中欧の支配地域ではグ-ツヘルと並存したが、復古王政期にはメリトクラシーを更めて賞揚し先天的血統原理には反対した点で注目される。民衆の共和心性は聖職者からの長期間の遊離によって固められてゆくが、聖職者の出自・出身地域、トリエント教義への忠誠度、立憲僧の輩出地域などによる地域差がみられ、それは「二つのフランス」の対照をなす。結局、第三共和政に初めて民衆への「社会上昇の機会の提供」を意味する制度改革により中流ブルジョワのヘゲモニ-が確立する。ドイツではユンカーとブルジョジ-の間の一層複雑な関係に注目することができる。
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