研究課題/領域番号 |
04304010
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
人類学
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
香原 志勢 立教大学, 一般教育部, 教授 (60062501)
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研究分担者 |
藤野 健 東京都老人総合研究所, 助手 (30190060)
中野 良彦 大阪大学, 人間科学部, 助手 (50217808)
木村 賛 京都大学, 霊長類研究所, 助教授 (20161565)
岩本 光雄 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20027478)
岡田 守彦 筑波大学, 体育科学系, 教授 (60011615)
宮下 節 筑波大学, 体育科学系, 助教授 (50015814)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
17,000千円 (直接経費: 17,000千円)
1993年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
1992年度: 11,000千円 (直接経費: 11,000千円)
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キーワード | 木登り / 前進運動 / 四肢の筋肉 / 四肢骨 / 筋電図 / 小脳運動系 / 霊長類の運動 / 垂直移動 / 霊長類 / 垂直移動運動 / 四肢筋 / 動作解析 / 基底核 |
研究概要 |
森林生活者のサル類は手で枝を握り、腕で幹を抱えて木登りする為、身体の形態・機能が他の哺乳類と異なり独自の進化を遂げて来たと考えられる。これを解剖学的及び生理学的手法を通じ詳細に検証した上で、サルの木登り能の発達の機構、更にヒトの2足歩行能獲得に於ける木登り動作の意義を検討した結果以下の知見を得た: (1)ロコモーションに関与する四肢及び体幹形態に関しては、おそらく樹上運動での衝撃に耐え得るべく、霊長類が他哺乳類に比してより丈夫な骨を保有していた。真猿類同士の比較に於いて固有背筋形態及び上腕骨頭形態が各サルの運動様式の差を明確に反映している事が示された。また三角筋線維構築の持つ機能的意義を三次元的な解析を通じて理論的に明確にし得たが、これは上肢操作性を大きく決定する肩関節の可動性が進化上どのような改変を受けたかを解析する為の基礎を与える。(2)平地、傾斜地での歩行、及び垂直移動時の、サル及びヒトの運動学的変化を観察した。サルでは筋電図的には、垂直移動時には上肢と下肢の役割分担の程度が種類により異なる事、また傾斜角度を増大するにつれ、活動筋群が次第に変化して行く事が明らかになったが、歩様はむしろ次第に一般哺乳類に見られるトロット型に推移していく事が示唆され、今後の多面的研究が必要である。また梯子を登らせた時のヒトの動作の力学的解析からこれがサルの木登りとヒト2足歩行動作の中間に位置づけられ研究上意義のある事が示唆された。(3)霊長類の樹上生活性を可能にした形態上の改変は運動器に限定されない。敏捷性及び四肢操作の巧緻性の増大には、それを制御する中枢の発達が必要であるが、ニホンザルとクモザルでの小脳運動系の比較は、後者の発達パターンがヒトと類似している事を示唆した。喉頭小嚢は「息こらえ」に関与し胸郭固定を有利にすると考えられ、ブラキエーターでは発達は極度だが、地上に降りたヒトでは一般的であった。
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