研究課題/領域番号 |
04304042
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
下地 恒毅 新潟大学, 医学部, 教授 (30040158)
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研究分担者 |
東 英穂 久留米大学, 医学部, 教授 (10098907)
佐藤 公道 京都大学, 薬学部, 教授 (80025709)
熊西 敏郎 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40018601)
浅野 孝雄 埼玉医科大学, 総合医療センター, 教授 (70090496)
赤池 紀生 九州大学, 医学部, 教授 (30040182)
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (40162325)
佐武 明 新潟大学, 脳研究所, 教授 (70018589)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
14,000千円 (直接経費: 14,000千円)
1994年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1992年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 脳虚血 / 細胞内カルシウム / 長期増強 / カルシウムチャネル / NMDAレセプター / カルシウム結合タンパク / cDNAサブトラクション法 / 一酸化窒素 / NMDAレセプタ / NO / アラキドン酸代謝系 / 海馬スライス / 脳損傷 / 海馬 |
研究概要 |
本研究において得られた主な成果を以下に示す。 1)微小な機械的損傷を与えたマウス海馬に、損傷後1日、3日には損傷部近傍で低酸素+無グルコース暴露による細胞内Ca^<2+>濃度上昇が抑制されたことから、この時期に損傷部位近傍に虚血に対する抵抗性が高まっていることが示唆された。2)低酸素+無グルコースによる急峻な脱分極から1〜1.5分後に海馬ニューロン膜の不可逆性変化が生じることが示唆され、その不可逆性変化にはNMDA受容体からのCa^<2+>流入と細胞内サイトからのCa^<2+>放出の関与が示唆された。また、軽度のアシドーシスはこの不可逆性変化を遅延することが示唆された。3)長期増強の発生する領域に限局したグリア細胞の細胞内Ca^<2+>濃度上昇が観測され、虚血におけるグリア細胞の活動とその役割の重要性が示唆された。4)海馬苔状線維-Ca3ニューロンの長期増強のメカニズムについてカルバコールの作用をホールセルクランプによって解析し、海馬苔状線維終末での長期増強がシナプス前性に誘導されることを示唆した。5)神経終末部がシナプス後膜に付着した単離ニューロンにおけるIPSCを指標として、化学伝達物質遊離に関与する電位依存性Ca^<2+>チャネルの性質を検索したところ、P型及びL型の高閾値Ca^<2+>チャネルの寄与が大きいことがわかった。6)NMDAタイプグルタミン酸レセプタを構成する数種類のサブタイプの分子構築が決定された。また、in situ hybridization法によりサブタイプの脳内分布に差異のあることがわかり、虚血に対する脆弱性の部位による差異との関連が示唆された。7)レセプタを介する細胞内情報伝達系について、シナプス前からの神経伝達物質放出機構に関与するカルシウム結合蛋白を同定した。これらカルシウム結合蛋白の作用と虚血による細胞内Ca^<2+>上昇との関連もさらに検討する必要がある。8)脳虚血の際に発現する未知の遺伝子群の検索のため、極めて高効率に特定の遺伝子群を単離できる新しいcDNAサブトラクション法“Directional tag PCR subtraction法"を開発した。9)脳虚血による神経細胞障害に対する治療的手段に関連して、NO産生阻害薬が脳虚血における梗塞相の領域を減少させること、アラキドン酸代謝系の阻害薬が低酸素+無グルコースによる海馬切片神経細胞の膜電位の不可逆性脱分極を抑制することがわかった。
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