研究課題/領域番号 |
04304044
|
研究種目 |
総合研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
形態系基礎歯科学
|
研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
梅本 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (20067036)
|
研究分担者 |
太田 寛行 岡山大学, 歯学部, 助教授 (80168947)
吉村 文信 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50001962)
星野 悦郎 新潟大学, 歯学部, 教授 (90124619)
奥田 克爾 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40085741)
並河 勇 朝日大学, 歯学部, 教授 (50075991)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1993
|
研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
|
配分額 *注記 |
22,000千円 (直接経費: 22,000千円)
1993年度: 10,000千円 (直接経費: 10,000千円)
1992年度: 12,000千円 (直接経費: 12,000千円)
|
キーワード | 歯肉縁下細菌叢 / P.gingivalis / A.actinomycetemcomitans / コラゲナーゼ産生菌 / DNase産生菌 / トリプシン様酵素産生菌 / 糖尿病 / 血中抗体価 / 歯肉縁下細胞叢 / Wolinella recta / 共生関係 / Treponema denticola / 付着因子 / Porphyromonas gingivalis / 線毛 |
研究概要 |
歯周病の発症や進展の直接的原因として、歯肉縁下細菌叢の量的および質的変動が考えられており、歯周病誘発能の高い歯肉縁下細菌叢の成立メカニズムを明らかにすることは、歯周病の治療や予防において極めて重要である。本研究では、歯周病誘発能の高い歯肉縁下細菌叢についてその細菌構成コラゲナーゼ、DNase、トリプシン様酸素産生菌の比率の変化の面から検討した結果、急性炎症部位ではそれぞれ30.4%、22.6%および17.6%と非発症部位の細菌叢と比較して有意に高い比率が認められた。尚、これらの比率中に占めるP.gingivalisの比率がそれぞれ53.7%、60.0%、および91.3%と極めて高い値を示したことから、急性発症部位ではP.gingivalisが主役を演じており、なんらかの要因でP.gingivalisが選択的に増加することにより急性化が惹起されることが示唆された。又、歯肉縁下の細菌密度あるいは特定細菌の増加に関わる要因として、糖尿病の影響についてマウスを用いた実験的研究から、糖尿病発症マウスでは正常マウスと比較して歯垢細菌叢中の菌数が有意に増加が認められ、構成菌種もグラム陽性球菌主体からグラム陰性桿菌が約60%を占めるようになることが明らかになった。尚、この変化の直接的原因は、糖尿病発症に伴う唾液腺障害により唾液の流量の減少と唾液中のタンパク量の変化が生じる結果、口腔常在菌の定着や増殖に変化が生じるためであることが推定された。 さらに、歯肉縁下細菌叢の遷移メカニズムに及ぼす体液性免疫応答の意義を検討する目的で、健全(20人)、歯肉炎(10人)および成人性歯周炎(52人)のグループを選んでP.gingivalisとA.actinomycetemcomitansに対する血清抗体価とポケット内からのそれぞれの菌種の分離比率を検討した結果、P.gingivalisに対する血中抗体価はポケット内での本菌の増加を反映していることから、増殖に対して抑制的作用しているとは考えられない。一方、A.actinomycetemcomitansに対するIgG抗体は、思春期歯肉炎患者で最も高く、抗体価の推移は感染程度とは一致しないことから、本菌に対する血中抗体は歯肉縁下での本菌の抑制に動いている可能性が示唆された。
|