研究課題
総合研究(A)
本研究は、(1)3歳から7歳までの子どもの国語能力の発達過程を総合的・縦断的に捉えるとともに、その発達に必要な環境要因を明かにすることにより、幼稚園から小学校低学年にかけての教育仮定を検討するための基礎的資料を得ること、(2)国語能力の全体的な発達過程における文字の獲得の位置づけを明らかにし、幼児期における言語および文字の指導のあり方を検討するための基礎的資料を得ることを目的として行われた。調査対象は、東京、徳島、福島において3歳、4歳、5歳の幼稚園児である。初年度は各年齢400名、計1200名、およびその母親と当該園の教諭を対象にして調査を行い、次年度は4、5歳児400名ずつの幼児と小学校での追跡調査、また最終年度では5歳児400名と部分的な追跡調査を行った。幼児期の読み書き能力や語彙力と小学校1年生の3学期の国語力の関連について、その得点の比較や、子どもたちの読み書きについての意識の点から検討してきた。その結果得られた知見は次の通りである。1)幼児期の読み書き能力のうち、特に読む能力は、小学校に入ってからの国語力との関連性は認められるものの、その関連はそれほど強いものではないということが見いだされた。2)幼児用テストにおいて、年齢差・性差が有意である。年齢が高く、女児の方がそうでない場合と比べて得点が高い。どれも年齢差があることは当然である。性に違いがあることも予期されることであり、女児の言語能力の相対的な発達のよさと、女児が男児に比べ読むことをめぐっての活動(例えば、絵本を読む)ことに加わる率が高いことをも反映しているのであろう。なお、どのテストでも性差は5歳で縮まっており、男児が女児にある程度追いついてきていることがうかがえる。
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