研究課題/領域番号 |
04402009
|
研究種目 |
一般研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
蟻川 達男 東京農工大学, 工学部, 教授 (90011543)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
34,100千円 (直接経費: 34,100千円)
1995年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1994年度: 7,400千円 (直接経費: 7,400千円)
1993年度: 10,200千円 (直接経費: 10,200千円)
1992年度: 12,500千円 (直接経費: 12,500千円)
|
キーワード | カイラル対称性の破れ / カイラル分子 / 中性カレント(PNC)相互作用 / 軌道電子のヘリシティ / レーザー・フォトリシス / 陽電子ラジオリシ / パ-フェクトロン / アミノ酸のvan der Waalsクラスター / アミノ酸のクラスタリング機構 / 陽電子ラジオリシス / 可変波長VUV光源 / 画像粒子分光法 / カイラル生体分子 / パリティの破れ / 非平衡の非線形科学 / パーフェクトロン / カイラリティの破れ / L型アミノ酸 / 弱電磁相互作用 / レーザーフォトリシス |
研究概要 |
生命体を構成する蛋白質は全てLアミノ酸からなり、地球上には所謂L生物しか存在しない。しかし「原始地球上で何故最初のL型への偏りを生じ、カイラリティが破れたか?」については、依然として化学進化の研究が直面している最大の難点である。これには幾つかの仮説があるが、ここでは唯一パリティを破る中性カレント相互作用(PNC)によりカイラリティが破れた、と云う前提の下に研究を進めてきた。このPNC効果の帰結として、カイラル分子内の軌道電子のヘリシティの僅かな偏りを、新しい原理のバイオリアクターであるパ-フェクトロンを用いて、アミノ酸分子のレーザーフォトリシス、及び陽電子ラジオリシス実験、化学進化のシミュレーション実験、カイラリティに関するオリエンテーション実験、等を総合的に行ない、夫々の実験を行う途中の段階においても多くの新しい知見が得られた。 まず、本研究では多くの技術開発を試みた結果、初めてアミノ酸のvan der Waalsクラスターの形成機構に関する動的過程の測定に成功した。特に、クラスター・ビーム中に特定のアミノ酸の組み合わせの場合のみにペプチドの混在が確認されたことは、van der Waals結合から水素結合を経てペプチド結合に至る化学進化の過程に一石を投じたと云える。また、回転スペクトルが十分観測し得る極低温のクラスター・ビームが得られたのと、強力な可変波長のVUV光源が完成したため、レーザー・フォトリシスが実施できただけでなく、特定の軌道電だけを選択的に励起し、偏極陽電子との対消滅断面積を大きくすることにより、軌道電子のヘリシティを測定するラジオリシス実験が著しく容易となった。さらに、可変波長のVUV光源をもちいて単色水素線が得られるようになり、偏極水素線によるオリエンテーション実験が行えるようになった。 現在実験は継続進行中であるが、本研究でこれまでに得られた多くの知見と、新たに行なった多くの技術開発の波及効果も見逃してはならない大きな収穫と云えよう。
|