研究課題/領域番号 |
04403006
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大野 惇吉 京都大学, 化学研究所, 教授 (70027077)
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研究分担者 |
岡村 睦雄 新潟大学, 理学部・化学科, 助教授 (30215503)
畑 安雄 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10127277)
河合 靖 京都大学, 化学研究所, 助手 (20240830)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
39,000千円 (直接経費: 39,000千円)
1994年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
1993年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
1992年度: 30,000千円 (直接経費: 30,000千円)
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キーワード | 立体選択性 / 酸化 / 還元 / カルボニル基 / スルフィニル基 / 軸不斉 / NAD / 立体化学 / 反応機構 / 基底状態 / 遷移状態 / 酸化還元 / 酵素の化学進化 / 立体制御 / X線結晶構造回析 / 絶対配置 / 酵素 / 補酵素 / 酸化還元反応 / 不斉反応 |
研究概要 |
有機化学反応に見られる立体化学は、置換基の大小差による立体障害で説明されて来た。ところが我々は、極性基がもつ双極子の方向によって反応面が規制される新しい立体化学を発見した。この現象は、酵素の化学進化を考察する上でも、重要な課題を提起している。この新しい立体化学を不遍的な現象として確立し、酵素反応に見られる高い立体特異性を有機化学の中で発現させるために、その機構を詳細に検討した。 カルボニル基やスルフィニル基に由来する双極子は、そのベクトルの方向が分子の面内に存在しない限り、その分子の反応面を不斉にし、反応に対して不斉場を提供する。ここに、軸不斉に由来する不斉反応が進行する原因が存在する。この反応が電子移動錯体のような中間体を経由するものであれば、その中間体が形成される際の分子間相互作用に不斉場による影響が表れ、反応する分子のre面からの相互作用とsi面からの相互作用にエネルギー差が生ずる。すでにこの段階で立体化学が規定されており、反応の遷移状態における反応分子どうしの相対配置は全く考慮する必要がない。つまり、反応性の高い試薬が反応にあずかる際には、強い相互作用による強い中間体が生成するので、この中間体の形成にはエントロピー的に有利な反応面が選択される。一方、反応性が低い試薬が反応に関わる際には、中間体を安定なものにするために、エンタルピー的により安定な面が選択される。ただし、分子間相互作用による中間体が形成される反応系であるから、反応の活性化エネルギー全体としては、エントロピーによる支配を大きく受ける。 これが、今日までに明らかにされた反応についての全体像である。今後更に、詳細な分子間相互作用を検討する必要があるとともに、酵素化学における現象の把握に勤める必要がある。
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