配分額 *注記 |
33,900千円 (直接経費: 33,900千円)
1994年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1993年度: 11,500千円 (直接経費: 11,500千円)
1992年度: 21,300千円 (直接経費: 21,300千円)
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研究概要 |
本研究は,新規の大環状ポリアミンおよびそれらの錯体を数多く合成し,生体系の高次機能を再現し、その機能を分子レベルで理解しようとするものである。本研究により以下のようなインテリジェント機能性分子を創造し,酵素反応の化学的機構解明,人工酵素の開発,新規機能性分子および新医薬品の開発に多大の成果をあげた。 (1)核酸塩基であるチミジンやウラシルの選択的な認識能を持つ新規大環状ポリアミン亜鉛錯体を合成し、その錯体の構造や認識メカニズムを明らかにするとともに、メッセンジャーRNAの特異的阻害による蛋白合成系の制御に成功した。 (2)ダイマー構造を持つ一連の大環状ポリアミン誘導体とそれらの金属錯体が強い抗エイズウイルス活性と高い安全性を有することを発見した。なかでも,キシリル基でつないだサイクレン亜鉛錯体のダイマーは薬として実用可能なレベルの活性を持っている。 (3)新しい金メッキ剤としての可能性をもつ一連のポリアミン金錯体の合成法を開発した。無公害金メッキ法の開発への応用が期待される。 (4)電子プール機能を持つペンダントを有する数多くの大環状ポリアミン錯体の合成に成功し,弱い電子供与体の存在下でもそれらが効率よく二酸化炭素の還元触媒として機能することや酸化還元反応を利用した新しい分析試薬としての可能性を見い出した。 (5)新規アルコール性水酸基を持つ大環状ポリアミン亜鉛錯体を合成した。それらは生理条件下で容易にアルコラート錯体を形成し,強い求核剤として機能することが明かとなった。それらの亜鉛錯体は,世界ではじめて成功したアルカリフォスファターゼのモデルであり、低分子人工エフォスファターゼの開発の可能性を示した。
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