研究課題/領域番号 |
04404023
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 九州大学 (1993) 東北大学 (1992) |
研究代表者 |
赤池 紀生 九州大学, 医学部, 教授 (30040182)
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研究分担者 |
原田 伸透 九州大学, 医学部, 助手
尾野 恭一 九州大学, 医学部, 助手 (70185635)
松田 博子 九州大学, 医学部, 助教授 (10181736)
鍋倉 淳一 東北大学, 医学部, 助手 (50237583)
河 和善 東北大学, 医学部, 助教授 (70125839)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
13,000千円 (直接経費: 13,000千円)
1993年度: 5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1992年度: 8,000千円 (直接経費: 8,000千円)
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キーワード | 代謝型グルタミン酸受容体 / ニスタチン法 / 海馬 / K^+チャンネル / シグナル伝達 / G蛋白質 / K+チャンネル / 代謝型グルタミン酸受容器 / 興奮性アミノ酸 / 電気生理 / パッチクランプ法 / K^+電流 / 急性単離神経細胞 / 中枢神経 |
研究概要 |
2年間にわたる研究を終え、代謝型グルタミン酸受容器(mGluR)応答の生理学的役割に関して満足すべき結果を得た。新たなパッチクランプ法であるニスタチン法を、1.生後2週以内の幼若ラットから急性単離した海馬CA1錐体細胞に適用し、mGluRの活性化によりCa2+依存性K+チャネル(中間コンダクタンスタイプ)が開口し外向き電流が惹起されること、mGluRとアゴニストの親和性はイオンチャネル直結型のそれと比して10-100倍高く、アンタゴニストとされているAP3、AP4では阻害されないことを見いだし、細胞内機序に関して、G蛋白質→ホスホリパーゼC→IP3合成→細胞内ストアからのCa2+放出促進→Ca2+依存性K+チャネルの開口という一連の経路を明かにした。2.CA3では、持続性の内向き電流が主体で外向き電流は約40%の細胞にしか認められなかったこと、内向き電流がM電流の抑制によっていたこと、アゴニスト親和性は内向き電流の方が外向き電流よりも10倍強いこと、アゴニストであるキスカル酸とtACPDによるmGlu応答のうち、tACPDによる外向き電流のみがAP3、AP4により阻害されること、などが特徴的であった。3.歯状回の顆粒細胞においては、外向き電流が主体でCA1のそれと比して持続時間が長いこと、および内向き電流がAP3により抑制されること、などを明かにした。4.1-2週令のラット海馬CA1の腹側1/3では、80%の細胞においてmGlu応答が観察されたが、背側1/3では20%、3-4週令になると腹側で40%、背側では5%しか観察されなかった。 以上の結果から、mGlu応答が脳内部位や個体発達に伴って変化し、神経細胞の興奮性に複雑な影響を及ぼすことが示唆された。シナプスを介した神経回路網の理解にはこれらの詳細な情報が必須であり、将来の研究に重要な知見であると思われる。
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