研究概要 |
1.ラット肝細胞の毛細胆管膜フラクションを粗抗原として作製したモノクローナル抗体により,tight junctionに局在する7H6抗原を発見し,論文1(J.Cell Biol,120,477,1993)に発表した。7H6抗原はtight junction膜骨格に結合する蛋白であるが,これまでに報告されているtight junction関連蛋白と,分子量,抗原性が異なるだけでなく,tight junctionのバリアー機能を増強するというユニークな性質を持つことを発見し,論文2(Exp.Cell Res.,214,614,1994)に発表した。7H6抗原は生体の維持に重要な働きをし,7H6蛋白の減少は炎症細胞の血管外浸潤,血漿成分の浸出,浮腫の成立,癌細胞の血管外脱出など,さまざまな病態の成立を招く可能性があることから,その構造決定と,バリアー調節の分子機構を解析している。 2.毛細血管は,アクチンによる規則的な収縮を行うが,ラット肝細胞の無血清培養系を確立し,エンドセリンが用量依存性に毛細胆管を収縮させることを見出し,論文3(Biochem.Biophys.Res.Comm.,191,817,1993)に発表した。またエンドセリンによって細胞内カルシウム濃度の一過性上昇が生じ,gap junctionを介するカルシウムの伝達が同期性の収縮をもたらすことを,培養心筋細胞を用いて明らかにし,論文4(Exp.Cell Res.,212,351,1994)に発表した。 3.本研究助成により導入された共焦点レーザーを用い,中間径フィラメントのケラチンが,肝細胞毛細胆管膜を裏打ちしその強度を保つことを論文5に(J.Electron Microscopy,43,347,1994),ビメンチンの局在が細胞の極性を維持することを論文6(Cell Str.Funct.,19,115,1995)に発表した。
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