研究課題/領域番号 |
04404061
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研究種目 |
一般研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
麻酔学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平川 方久 岡山大学, 医学部, 教授 (70033058)
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研究分担者 |
太田 吉夫 岡山大学, 医学部附属病院, 助教授 (30136006)
板野 義太郎 岡山大学, 医学部, 助手 (30127542)
山田 輝夫 岡山大学, 医学部, 助手 (00033225)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
35,000千円 (直接経費: 35,000千円)
1993年度: 32,000千円 (直接経費: 32,000千円)
1992年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 吸入麻酔薬 / チトクロームP450 / 薬物代謝 / 肝障害 / 腎障害 / ヘム / ヘムオキシゲナーゼ / 無機フッ素 / 筋弛緩薬 / 液体クロマトグラフ / 質量分析計 / サーモスプレー / 四重極マスフィルター / チトグロームP-450 / フェノバルビタール / メチルコラントレン / パロセン / エンフルレン / イソフルレン / セボフルレン / アミノピリン脱メチル化活性 |
研究概要 |
現在使用されている吸入麻酔薬、ハロタン、エンフルラン、イソフルラン、セボフルランの代謝と臓器障害を薬物代謝酵素チトクロームP450(P450)との関連において検討した。ハロタンは低酸素下で肝のP450を分解し、細胞内遊離ヘムの増加をもたらす。遊離ヘムはpro-oxidantとしてハロタン肝障害に関与し、ヘムによって誘導されたヘム分解の律速酵素ヘムオキシゲナーゼは細胞毒である遊離ヘムを分解することにより生体防御的に働くことが示唆された。また、必須微量元素である亜鉛はP450の減少と、ハロタンとP450の相互反応阻害によりハロタン肝障害を予防する作用を有することが示唆された。エンフルランも低酸素下でP450を減少させたことから、低酸素下エンフルラン投与による肝障害にもP450が関与していることが示唆された。セボフルランとイソフルランの代謝産物である無機フッ素の血中濃度は、セボフルラン麻酔症例では50μM以上に上昇する症例も存在した。また、無機フッ素による家兎腎障害は近位尿細管に認められ、その発生には無機フッ素血清濃度のみならずその持続時間が重要であることが明らかとなった。さらに、家兎にセボフルラン、メトキシフルランを投与すると、血清無機フッ素濃度が同等のとき、麻酔薬の種類に関係なく腎内濃度が一定となったことから、メトキシフルラン腎代謝が必ずしも腎障害の主因とは言えず、また、同様の腎内濃度を示すセボフルランも完全に安全とは言い切れないことが示唆された。以上より、吸入麻酔薬の臓器障害にはその代謝産物とP450の両者が関与していることが明らかとなり、特にP450については吸入麻酔薬の代謝に伴い変化することが明らかとなった。したがって、吸入麻酔薬を用いた臨床麻酔においては麻酔併用薬剤の薬物代謝が影響を受ける可能性が考えられる。そこで現在、吸入麻酔薬が麻酔併用薬剤の代表である筋弛緩薬の代謝に及ぼす影響について、質量分析計(GC/LC/MS)を用いて詳細に検討している。
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