研究概要 |
本研究の結果,次ぎのような諸点が明らかとなった. 1 三次元的測定システムには,接触針を用いる方法と光学的に非接触に測定する方法とがあり,歯冠微小形態の測定には,その両者の利点と欠点とを十分に考慮して用いることが肝要であり,例えば基準点の設定のような場合には接触針を用いるのがよく,小窩裂溝のように複雑な形態や全体の輪郭形態の測定にはレーザー光を用いる非接触型が適当であることが分かった. 2 同一個体の経時的変化を観察する際には,三次元的基準面の設定が基本となるが,本研究においては,歯冠上の特定の3点を三次元的に基準化するコンピュータープログラムの開発に成功し,繰返し測定あるいは被検物体が同一視野内からはみ出るほど大きい場合測定視野を数回繰返し測定するときこのプログラムが有効であることが判明した. 3 乳臼歯咬合小面の微小形態は,下顎の三次元的顎運動の方向ときわめて類似しており,咬合を開始して後下顎運動という機能的要素と関連しながら明らかとなった. 4 咬合小面の形態と咬合圧を同時に測定するシステムの応用により,咬合異常を示す患者の咬合力分布が簡便な計測が可能となり,治療の過程や予後を診査するに当たり,きわめて有用であることがわかった.
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