研究分担者 |
米倉 廸夫 (米倉 迪夫) 東京国立文化財研究所, 情報資料部, 室長 (70099927)
長岡 龍作 東京国立文化財研究所, 情報資料部, 研究員 (70189108)
島尾 新 東京国立文化財研究所, 美術部, 主任研究官 (80170926)
井出 誠之輔 (井手 誠之輔) 東京国立文化財研究所, 情報資料部, 主任研究官 (30168330)
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研究概要 |
本研究は、視覚像(ビジュアル・イメージ)とコトバとの親和性,つまり両者は対立するものではなく,むしろ相互に補完するものであるという点を,ヨーロッパなど他の地域の美術にみられない東アジア美術の特徴のひとつと考え,具体的な作例に基づいてその特質の実態を明らかにし,あわせて視覚像・言語の比較研究のための一般問題・理論の提示を試みることを目的とした。 先年度に実行できなかった関連作品の調査を行なった。主な調査作品を3つの代表的なタイプに分類すると以下のようになる。 1.視覚像・コトバを作品内部の構造にもつ例……絵巻(絵と詞),水墨画・肖像画(絵と賛),彫像と銘文など一枝希惟筆「山水図巻」(京都国立博物館),野泉筆「策彦還国図」(妙智院) 2.言語テキストを典拠とする視覚像……物語・説話・故事にもとづく画像と経典にもとづく宗教像 「源氏物語色紙貼交屏風」(京都個人蔵) 3.生活空間のなかで伝承される視覚像……漆工,染織などの工芸品の文様・意匠 「扇面草子」(高津古文化会館・京都個人蔵等) 最終年度にあたる本年度は,2年間の収集資料を整理し,まとめの作業にあたった。本研究では,今後の研究の見とおしをつけることはできたが,具体的な結論を提示するには至らなかった。本研究を基礎においた新たな研究が期待される。
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