研究課題/領域番号 |
04451035
|
研究種目 |
一般研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会学
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
濱谷 正晴 一橋大学, 社会学部, 教授 (60017639)
|
研究分担者 |
井上 由紀 一橋大学, 社会学部, 助手 (80168020)
石田 忠 一橋大学, 名誉教授 (40017603)
|
研究期間 (年度) |
1992 – 1994
|
研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
|
配分額 *注記 |
5,000千円 (直接経費: 5,000千円)
1994年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1992年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
|
キーワード | 原爆被害の全体像 / 極限状況(地獄) / 精神的外傷 / 死の恐怖 / 不安 / 生きる意欲の喪失 / 原爆体験の思想化 / 人間 / Human beings |
研究概要 |
我々は、平成4年度以降、37万ページに及ぶ『原爆被害者調査票』に立ち向かってきた。データ集計の過程は、〈原爆体験の全体像〉を再構成する分析の枠組を発見し検証していく営みであった。すなわち、 第1に、「あの日の証言」をはじめ自由記述回答のデータベースにもとづいて証言分析を進めた結果、原爆がもたらした〈地獄〉や〈死〉の実像を〈心の傷〉という苦悩を通して復元することが可能となり、〈原体験〉が被爆者の思想的営為を活性化し、方向づけることを明らかにした。 第2に、〈原爆体験の思想化〉の過程を4つの要因-(1)〈心の傷〉・〈体の傷〉・〈不安〉を指標とする「被害層」分類、(2)〈生きる意欲の喪失〉、(3)国の戦争責任、(4)〈生きる支え〉にみる思想類型-において分節化し、相互の関連を測定した結果、被爆体験が重く深い層になればなるほど、〈生きる意欲の喪失〉体験をもつ者が規則的に増大し、そうした重い体験をもつ人ほど、反原爆-「証人」、「援護法の制定」、「核廃絶」-に〈生の意味・目的〉を見出していくことが明らかになった。 第3に、〈惨苦〉の生について(1)被爆当時の「傷害」類型と(2)その後における生の「苦悩」の類型別に考察した結果、原爆は、〈学業-就職・仕事-結婚-子育て〉という日々の営みを脅かすことによって人生の「夢や希望」を断ち切ってきたこと、そのような苦悩を背負って生き抜いてきたがゆえに被爆者は、〈反原爆〉を糧として人間の尊厳を取り戻そうとしていることが明らかになった。 〈原爆〉に人間を対置する-このことを、統計分析の方法として確定しえたこと。ここに本研究の最大の成果がある。
|