本研究は青果物の産地が各市場に分配発送する際に前日価格のデータをもとに状況判断し、価格を有利に展開することを目標にしたものである。このような目的に即したモデルを産地では県経済連レベルで作成しているところもある。が、しかし、そのモデルはかなり古く、また、実際には活用されていないのが実状である。その理由として、産地としては市場に対し、たとえ前日の価格が他市場の価格より安かったとしても翌日に出荷量を減らすことは市場との信頼関系を底なうものだという考えが産地側に根強くある。 本研究ではこうした関係を改善するため、前日価格の分析にもとづいて出荷体制をとった場合にどれだけ産地にメリットがあるかを定量的に分析しようと試みた。今年度における本研究では、各手市場の価値データ、産地から市場までの運送手段及び輸送時間、競合する各産地の生産・集荷状況などの資料を収集した。これらの資料をもとにモデルの構成にとりかかったが、当日の卸売り価格が発表される午後2時ごろを基準に産地が各市場への出荷量を決定することを予想してモデル構成を行った。特に、市場価格のデータはパソコンを使用しDownloadできるシステムを構成し、即時に分析を終える必要性がある。 本研究にはおおよそ3年の期間を要するが、今回は単年度のみの予算が配分された。この限られた期間においては満足のゆく研究は不可能ではあったが、研究に重要な市場調査、データの収集、備品の改善を計り、わずかではあるがデータの分析及びモデル構築をはじめることができた。よって、来年度以降も予算の配分が望まれるところであり、具体的なモデル構成とシミュレーションの段階へと進む計画である。
|