研究概要 |
「文化財に関する直接的な情報」として『東京国立博物館収蔵品目録』データ213万字,「文化財研究に必要な史料」として『画史叢書』データ33万字,「文化財に関する論考」として『日本絵画史論集』データ36万字の合計282万字について,使用されている文字を「非漢字」,「JIS第1水準・第2水準漢字(JIS X 0208-1990)」,「JIS補助漢字(JIS X 0212-1990)」,「UCS漢字(ISO 10646-1:1993)」,「上記を除く大漢和収録漢字」,「その他の漢字」に区分して集計した。 以上の作業結果を統計処理して得た漢字使用頻度の各文字区分ごとの充足率は,JIS第一水準・第二水準漢字だけで99.71パーセント,これにJIS補助漢字を加えると99.94パーセント,UCSでは99.96パーセントであった。ただしこの数値は比率としてはかなり高いものの,「〓」(はぞう)や「〓」(しころ)など,文化財に関する記述で比較的多く出現する幾つかの文字を欠いており,文化財の分野特有の文字を利用者定義文字(いわゆる「外字」)として用意することが必要であるとの結論に達した。 利用者定義文字による方法の実用性を確認するために,本研究の「研究成果報告書」(冊子体)の印刷を,必要な文字全てを利用者定義文字として作成し,コードを割り当て,印字可能な環境を試作し,その印字出力を版下として印刷する方法で行なった。
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