研究課題/領域番号 |
04452053
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
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研究分担者 |
松山 東平 新潟大学, 医学部, 助教授 (00047200)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
4,700千円 (直接経費: 4,700千円)
1993年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1992年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 細菌コロニー / 形態形成 / フラクタル / 自己相似 / 自己アフィン / 形態遷移 / 自己相似性 / 自己アフィン性 / 細胞集落 / パターン形成 |
研究概要 |
私たちは最近、大腸菌や枯草菌などごく普通の細菌を寒天板上に培養したときに成長するコロニーのパターンが、栄養濃度と寒天濃度(培地の固さ)という環境を決める二つのパラメータを変えるだけで、多様に変化することを見出した。こうして本研究により、特に枯草菌についてコロニー・パターンの相図を定量的に確立することができた。即ち、細菌コロニーが自己相似フラクタルであるDLAパターンや、全体としてはコンパクトだがパターン界面だけに注目するとそれが荒れていて自己アフィン・フラクタルだと思われるEden的パターン、同心リング状パターン、枝分かれが密集したDBM的パターン、一様等方なディスク状パターンといった、5種類の典型的なパターンを呈する領域があることを明らかにした。また、成長途上のコロニーの顕微鏡観察によって、寒天培地がある程度以上柔らかくなると個々の細菌細胞が寒天培地上を能動的に動き回ることを見出した。この能動的運動がコロニーのパターン変化をトリガーするようである。栄養濃度が低く寒天培地が固めのときには、大腸菌、枯草菌を含む多くの桿菌が栄養の拡散律速による自己相似フラクタルなDLA的コロニーパターンを形成することがわかった。従って、このような環境下ではコロニー形成にDLA機構がかなり普遍的であることが結論される。最も単純なパターンである一様等方なディスク状コロニーについて界面の成長速度、コロニー内の個々の細菌の密度や拡散係数(細菌の動きをブラウン運動とみなして)などを詳しく測定することにより、このようなコロニーの形成が基本的にフィッシャー方程式で記述できることも明らかにした。しかし、Eden的コロニーの自己アフィン性の確認はまだであるし、他の領域のコロニーの形成機構は全く不明で、今後の興味ある課題として残った。
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