研究分担者 |
松本 聡 東北大学, 理学部, 助手 (40221593)
日野 亮太 東北大学, 理学部, 助手 (00241521)
海野 徳仁 東北大学, 理学部, 助教授 (30004477)
松澤 暢 東北大学, 理学部, 助手 (20190449)
堀内 茂木 東北大学, 理学部, 助教授 (00004490)
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研究概要 |
地震観測データを用いて,典型的な沈み込み帯である東北日本の火山の深部構造およびそれと内陸地殻内地震との関係が明らかにされた.地震波トモグラフイの研究から,地震波低速度域が活火山の直下から上部マントルまで,沈み込む太平洋プレートにほぼ平行に連続して分布していることが分かった.火山直下の低速度域周辺では,最上部マントルあるいは地殻最下部の深さ範囲で(22〜40km),低周波微小地震が発生している.震源スペクトルの形状から,この地震は破壊を伴なうマグマの移動に対応している可能性が示唆された.地殻中深部では(10〜15km),溶融体と思われるS波反射面が見出された.直達および反射S波のスペクトル比から推定された反射体の厚さおよびS波速度は,それぞれ約100m,約1km/secである.これは非常に薄いシル状のマグマ溜りが,火山直下のこの深さ範囲に分布していることを示している. 内陸地殻内地震の深さの下限を系統的に調べた結果,それは地域的に変化していることが明らかになった.活火山直下の低速度域では,深さの下限が局所的に浅くなっている.このことは,深部から上昇してきたマグマが火山直下で周囲の岩石を温ため,結果として脆性-延性境界面の深さを局所的に浅くしていると考えると理解される.脆性-延性境界面に凹凸があれば,太平洋プレートの沈み込みに伴なう圧縮力を受けて応力集中の起こり易い場所が特定されることになる.我々は,これが内陸地殻内地震の発生機構であると考えており,今後さらに検討を進めてゆくつもりである.
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