研究概要 |
南関東及び一部東海地方の地震について,8地点(横浜,高尾,箱根,千葉,館山,中伊豆,都留,清水)での高性能地震計観測を進めてきた。この間,地震計を設置したばかりの清水市の直下でM4クラスの地震を含む群発地震が発生した。また伊東沖でも同程度の群発地震が起こった。これらの地震を中心に,収集した地震記録を用いて,震源のメカニズム,震源時間関数,及び応力降下を系統的に調べた。 その結果,破壊の成長過程について極めて注目すべき事実が確認された。それは伊東沖群発地震でとくに顕著であり,つぎのような事柄である。まず,初期の段階で継続時間が約0.2秒(断層長にして約500m)の固有長を持った地震が繰り返し発生し,次いでそれらが2,3個つながった連発型地震が起こり,やがて継続時間約1秒(断層長約2km)の一回り大きな破壊へと成長していった。 また,静岡県の直下地震では,清水観測点だけの記録から震源メカニズム,震源時間関数などを決めることができた。これにより今回の地震がフィリピン海プレートの潜り込みに伴う「プレート間」地震である可能性が示唆された。このように,近地の記録があれば,たとえ一地点でも,波形のインバージョンによって震源パラメタを決定することが可能であることが示された。
|