研究概要 |
本研究の目的は,光の超並列情報伝送・情報処理能力を生かした統合型大容量情報処理システム(光コンピュータ)のプロトタイプを並列分散モジュールアーキテクチャに基づいて設計することである。本年度の研究により得られた成果,知見は次のとおりである。 1.並列処理モジュールのプロトタイプとして,昨年度試作した純光学型並列光アレイロジックシステムにホログラフィック離散相関光学系を組み込み,その動作を確認した。360×100点の2値画像データに対する並列近傍画素間論理演算の実行を確認した。空間光変調素子の応答速度,空間分解能,コントラスト,均一性によりシステムの処理能力が制限されている。 2.フォトポリマ光記録材料をホログラフィック離散相関光学系に応用する手法について検討した。光アレイロジックシステムでは均一に入力画像を複製する必要がある。そこで,フォトポリマの現像不要な特性をいかして,記録時の回折光モニタにより任意の回折特性を持つホログラム素子を作成できる記録光学系を開発した。例として,ファンアウト数4,各回折効率5〜6%のホログラム素子を作成できた。 3.分散モジュール型システムで予想されるシステム制御の困難を回避する方法として,光アレイロジック用拡張符号パターンを開発した。通常,光アレイロジックでは2値のデータしか扱うことができないが,データ自身の不在を表わす符号パターンの導入により効率的な処理が行えることを確認した。 4.モジュール型相関光学系の一方式として,平板マイクロレンズを利用した微小離散相関光学系を試作した。光軸間隔0.4mm,口径0.2mm,焦点距離1mmの平板マイクロレンズにより,最大ファンアウト数400,最大シフト量10の離散相関演算を実現できた。
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