研究概要 |
本研究では,以下について検討した.(1)シリコンカーバイトウィスカ(短繊維)強化アルミニウム合金(6061T6)の一定高温度(300℃)下の疲労過程.(2)一方向カーボン長繊維強化耐熱プラスチック(CF/PEEKおよびCF/PMR-15:いずれも耐熱性に優れ,高温での使用が期待されている材料である)の高温疲労過程における層間はく離伝ぱおよび繊維架橋の影響. (1)で用いた材料は,日本材料学会高温強度部門委員会の共同研究として実施中のラウンドロビンテスト用のものであり,他機関において静クリープや高温引張り試験等が行われており,特性が比較的よく把握できている.本研究では,クリープ疲労変形挙動を明らかにするとともに微小き裂の発生・成長について顕微鏡観察を行った.その結果,微小き裂の発生数はきわめて少なく,発生時期も寿命中期から後期であることが判明した.また,他機関の結果と総合して,疲労寿命に及ぼすクリープの影響などを系統的に明らかにすることができた. (2)の研究では,まず,高温層間破壊じん性について検討し,温度が高くなるとともにじん性が上昇することを明らかにした.つぎに,高温クリープ疲労下におけるはく離き裂伝ぱについて実験観察し,高温疲労における破壊力学の適用性を明らかにした.さらに,室温および高温において応力拡大係数範囲一定の疲労試験を実施し,はく離き裂先端近傍を顕微鏡にて繊維架橋の様相を観察した.この結果より,クラック・シールディングによるはく離き裂伝ぱの抑制の効果について定量的に明らかにするとともに,繊維架橋状態とクラック・シールディングの関係についても明らかにした.
|