研究概要 |
高負荷速度下において衝撃破壊靭性K_<1d>が異常に上昇するという実験結果や高速き裂進展靭性K_<1D>がき裂の加速度に依存するという実験結果等が数多く発表されており,これが動的線形破壊力学の適用を困難としていることを指摘し,K_<1d>やK_<1D>のこのような特異な性質の多くが従来の測定法に潜在している測定誤差を考慮することによって説明できることを(本補助金により購入したワークステーションを利用して)有限要素および境界要素シミュレーションにより見出した(機論A,58巻p.1785,J.Mech.Phy.Solids-to appear,機論A,58巻p.1650)。 アルミナをはじめ数種の構造用セラミックスの試験片にブリッジインデンテンション法により予き裂を導入して一点曲げ試験によりK_<1d>を測定するとともに,予き裂面に接触力が働いていることを確認した(Proc.7th Int.Con.Exp.Mech.)。この接触力の分布を裂先端近傍のひずみゲージの出力から推定する逆問題を境界要素法により解いた(機講論,NO.920-72,p.631)。また、一点曲げ試験における破壊開始時刻を衝撃力の履歴がら推定する逆問題を,チモシェンコ梁理論を応用して解いた(42回応力連合講演予稿集,p.463)。これらの逆問題の解析に本補助金により購入したワークステーションを利用した。 ばねにより衝撃体を加速し試験片に縦衝撃を与え,破壊開始までの時間が数μsとなるような高負荷速度衝撃破壊試験装置を試作し,衝撃体の速度および試験片の両側のき裂先端近傍における厚さ方向の変位の変化をそれぞれ本補助金により購入したレーザーセンサーおよびレーザードップラー振動計で計測し,逆解析により衝撃力を推定し有限要素法によりき裂面接触力の影響を考慮に入れて,アルミナのK_dを求めた(発表準備中)。
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