研究概要 |
旋盤及びフライス盤を研究の対象として,仕上げ面の断面曲線及び工具と工作物との相対変位の解析を行った結果,次のような成果が得られた. 1.外丸削りをした円筒状工作物の軸方向断面曲線に現われる不規則な曲線は,主に主軸の半径方向運動誤差が転写されたものであり,端面削りにおいては,その影響がほとんど無いために表面粗さは小さくなる. 2.主軸の半径方向運動誤差は軸受の転動体の運動及び構造系の固有振動数に左右され,それが円筒面の断面曲線に現われる. 3.旋盤とフライス盤の2種類の機械を使った端面切削においては,主軸の軸方向運動誤差は小さく,影響が少ないが,面振れを起こすような機械ではその影響は大きく現われる.また,主軸の軸方向運動誤差意外に主軸の熱膨張の影響が大きく現われる. 4.フライス削りにおいては,1刃当たりの送り量が大きいときに断面曲線に見られる前刃で切削したときの切り込み量と後ろ刃で切削した時の切り込み量との差からテーブルの直角度を評価できる. 5.規則的な断面曲線の送りピッチから送り速度をレーザー干渉測長器と同等の精度で評価できる. 以上の2年間の研究をとおして,工作精度試験において表面の断面曲線を測定することによって,工作機械の幾何学的的精度のうち,主軸とテーブルとの直角度,主軸の回転精度がわかっただけでなく,送り速度,主軸の熱膨張などの幾何学的精度以外の精度も評価できることがわかり,工作精度の新たな評価項目を体系付けることができた.
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