研究概要 |
本研究課題の目的は,AI手法に基づいたヒューリステックスの導入や柔軟なプログラミング技術を基盤として,数理計画法による最適化手法とのハイブリッド化をもとに,知的設計支援システムを構築するための体系的な方法論を確立することである.本年度は,昨年度における,プラント配置設計,航空機の基本設計,リンク機構の形状最適化設計,の具体的な各設計問題におけるハイブリッド化の試みをさらに進めるとともに,新たに以下のような設計問題についての検討を行ない,以下の知見を得た. ●板取り問題においては,部材のそれぞれの具体的な配置位置や向きを決定する必要があるが,そのためには,部材間の隣接関係についての位相構造と具体的な配置情報とを階層的にとらえ,前者については遺伝的アルゴリズム,後者については,極小値探索アルゴリズムを適用することにより,ハイブリッド化解法を用いることが有効である. ●リンク機構の形状最適化問題では,機構の運動に係わる内容や各リンク構成部材の強度に係わる内容などの多領域にわたる内容を同時に考慮する必要があるが,そのような広範な内容の最適化のための計算モデルを導出する上で,オブジェクト指向によるモデリング手法や,知識処理を融合した自動化技術が有効であり,さらに,それらを最適化計算と統合化することによって,有効に最適設計の過程を支援することができる. また,昨年度における研究の成果やこれらの具体的な問題における検討を通じて,知的設計支援システムにおけるAI手法と最適化手法とのハイブリッド化の有効性に関して,以下の知見を得た. ●設計プロセスにおける処理内容は多様であり,設計対象の構成内容や形態を扱う部分に対してはAI手法が,また,数量的な扱いによりリファインメントを行なう部分については最適化手法が有効であり,設計内容の性質に応じて,両者をハイブリッド化することが有効である. ●最適化手法を適用するに当っては,適切な数学的なモデルを導出することが重要であり,そのような過程を自動化したり,柔軟に支援していく上で,AI手法に基づいたモデリング技術が有効である.
|