研究概要 |
申請者らの独自の発明に基づく気-液-液系中空液滴生成装置を用い,連続生成される中空液滴を急冷凝固させることによる固体球殻の大量生成法の研究を行った.気-液-液系装置は,円筒容器内に互いに混和しない2種類の液体を満たし,容器底部中央に設置したノズルから気体を垂直上方に噴出し,2種類の液体の水平液液界面からその内部に気体を含む中空液滴を連続的に生成する装置であり,生成後加速上昇運動する中空液滴を周囲流体の温度制御によってその上昇運動中に凝固させるものである.本研究によって,固体球殻生成装置内の熱対流場の最適制御方法,低抗係数などの中空液滴の基本的流動機構,熱物質伝達特性,変形挙動および界面振動特性などが明らかになった.これらは申請者らの独自に開発した数値解析アルゴリズムによるスーパーコンピュータを用いた解析によってなされ,特に,従来不明であった,比較的早い流動場での中空液滴の流動特性ならびに熱物質伝達特性をはじめて明らかにすることができた.さらに,解析結果の妥当性の検討は具体的に供試液体を広範囲に変えた実験によって行われた.これらの結果,装置の最適な熱流動制御方法が明らかになるとともに,実際の解析結果に基づいたデータによって装置を改良した結果,固体球殻の生成頻度を毎秒20個程度まで高めることができた.従来はせいぜい10個未満であったので,これは著しい装置性能の向上であると思われる.なお,上記の研究成果は本報告書の研究発表覧に記述したとおり,国内外の専門学会で公表され,高い評価を得ている.
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