研究概要 |
ロボットによる組み立て作業の自動化において,位置・姿勢決めの自動化における問題を解決するために,再配置が不要で重量物の「固定」と「操り(主に回転)」の機能をもった自動治具「インテリジェント治具」の開発を目的として本研究は始められた.このような自動治具が開発されれば,これまで専用の治具を開発するために必要であった時間・コスト,および,治具取付のための工程を省くことができる.また,治具に重量物を操る機能を持たせることにより対象物の姿勢制御を可能とし,ロボットによるバリ取りなどの加工作業や組立て作業を促進することが期待できる.本研究では,ロボットによるバリ取りと組立てにおいて,作業対象物の再配置が不要で重量物の「固定」と「操り(主に回転)」の機能をもった自動治具「インテリジェント治具」の開発を目的として,回転台座と並進1自由度指機構(RBSF)を提案した.そして,RBSFの通動学と動力学的諸問題について考察し,拘束機能と加速度・角加速度発生機能について考察した.運動学と動力学的諸問題に関して,接触点での滑りの状態により,「ω_ο 非拘束相」と「ω_ο 拘束相」という力学的に異なった二つの相が現れることを明らかにし,対象物の台座に対する相対的な回転はω_ο非拘束相で生じることを示した.フィクスチャとしての対象物拘束機能は,拘束専用のロボット・アームを用いて実現できる.マニピュレータとしての加速度・角加速度発生機能は,運動計画と逆動力学から得られた台座回転トルク・指駆動力から,計画通りの接触力と対象物加速度・角加速度が順動力学によって発生することを証明した.また,インテリジェント治具を試作し,RBSFによる操りの可能性をシミュレーションと実験により明らかにした.今後,操りが可能な条件についてさらに検討する必要がある.
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