研究概要 |
昨年度は,室内実験で8.5m放電や,放電路を人為的にジグザグに曲げるz型放電をレーザエネルギ100J,ピークパワー2GWの炭酸ガスレーザを用いて実現した。これらの成果をふまえ,本年度は1993年11月〜1994年2月の間,福井県三方郡美浜町において野外でのレーザ誘雷予備実験を開始した。なおレーザ誘雷実験のための野外実験場は,美浜町早瀬地区にある海抜190m程度の嶽山山頂で,そこに高さ50mの誘雷用の塔を建設し実験に供した。今回の野外実験の主たる目的は, (1)同地区の発雷状況及び雷雲の電気的性質を把握すること。 (2)長焦点光学系を用いた野外における集光技術を確立すること。 (3)各種気象環境下でのレーザ光長距離伝搬特性を明らかにすること。 (4)誘雷塔による雷雲下での電界強度の増加率の把握 の4項目であり,加えて本実験では,50mという長焦点を有するカセグレン鏡を鉄塔頂部に,レーザプラズマを生成する目的で,発泡石英ガラスを用いた直径50cmの連続焦点を有するMACH鏡を主鏡として製作した。さらに誘雷塔頂部と大地上の二箇所にフィールドミルを設置し,雷雲下で各々の点での電界強度を同時測定した結果,両者には比較的強い線形性があり,かつ50m鉄塔によりおおよそ100倍程度の電界強度の増強が期待できることが明にした。また本カセグレン鏡でレーザ光を集光したところ,塔頂に2〜3m程度のレーザプラズマの生成が確認出来た。
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