研究概要 |
出力がそれぞれ約50ジュール,約2ジュールの炭酸ガスレーザーを使用して,大気中に生成したプラズマの特性ならびに放電誘導のメカニズムの検討を行い,次の知見を得た。 1.インパルス電圧による長ギャップの放電誘導実験では,プラズマとほぼ対応して配置した金属浮遊粒子の放電誘導電圧は,レーザーとほぼ同じ誘導電圧となり,同様な極性効果の逆転(プラズマあるいは浮遊粒子の有無で放電電圧の極性差が反対になる)を生じることが分かった。このことから,レーザーの生成したプラズマは放電誘導に関して導体球とほぼ等価であると見なす事ができる。またレーザービームを分割してそれぞれの焦点を異なる位置にすることによって,同じ電圧で誘導距離を伸ばせる事が分った。 2.干渉法で調べたプラズマの挙動は,最初約2km/s,約20μs以降はほぼ音速で衝撃波的に膨張するが,誘導に支配的なのはプラズマのコア部分で,この部分の径は10μs以後ほぼ10mmでほとんど増大しない。 3.小型レーザーを用いた放電誘導実験では,幅100μsのパルス電圧で平等電界ギャップの場合も,長ギャップと同様に100〜数百μsの遅れのときに放電誘導電圧が最低になることを見出した。 4.固体レーザーを用いたトムソン散乱,レーリー散乱,窒素イオンの発光スペクトルから生成プラズマの電子および中性粒子の温度・密度を計測した。これらによると,大気中で生成後30μsの電子密度は2×10^<22>m^<-3>,電子温度は0.5〜1evである。一方,熱平衡を仮定して中性粒子温度を求めると,生成後100〜500μsで1000Kである。 5.以上の結果は電気学会の大会,研究会,応用物理学会などの国内学会と国際会議に発表している。
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