研究概要 |
PZT薄膜の光MOCVD成長において,酸素源として従来のO_2に代えO_2+O_3(0-11wt%),UV+O_2+O_3等O_3の添加効果及び紫外光照射効果を調べた。その結果,O_3添加や光照射はPZTの成長温度,成長速度,結晶性等にはそれほど影響を及ぼさないが,電気的特性,とりわけリーク特性における絶縁破壊電圧に大きな影響を及ぼすことが見出された。O_2を用い作製したものに比べ,O_3を添加し成長させたPZT膜の方が高い絶縁破壊電圧を示し,さらに光照射を併用すると,より高い絶縁破壊電圧を示すようになる。これはO_3や光照射を併用することで,PZT膜の緻密性が向上するためであろうと思われる。 PZT膜の成長においてZr組成が多い領域での菱面体晶系PZT薄膜を得るには,ZrO_2の析出やパイロクロア相形成を防ぐためかなりの高温が必要とされたが,PbTiO_3層(20-100nm)をバッファ層としてPZT膜を成長させる二段階成長法を用いると,容易にかつ低温で菱面体晶系PZT薄膜が得られた。原子間力顕微鏡を用いた観察により,PbTiO_3バッファ層は二次元成長していることを明らかにした。またこのPbTiO_3バッファ層の配向を変えることにより,PZT薄膜の配向性を制御する事に成功した。 分極反転によるスイッチングにおいて,電極面積とスイッチング速度との関連を明らかにすると同時に,スイッチング時間は反転ドメインの核速度で決められることを示した。
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