研究分担者 |
上田 裕市 熊本大学, 工学部, 助教授 (00141961)
宇佐川 毅 熊本大学, 工学部, 助教授 (30160229)
園田 頼信 熊本大学, 工学部, 教授 (70037836)
宮園 博光 八代工業高等専門学校, 助手 (00229858)
渡辺 亮 熊本大学, 工学部, 教授 (50040382)
津村 尚志 九州芸術工科大学, 教授 (20038962)
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研究概要 |
本研究ではマスキング効果を用いたサブバンド・コーディングにおける圧縮効率の向上を目的として,短い継続時間の音による同時マスキングについての詳しい測定を行い,これらの測定結果の検討を行なった.また,マスク処理による音質の変化について調べた.音質を保ちつつさらに高い効率を得るには,人間の聴覚特性を忠実に採り入れた符号化方式でなければならない.そのためには,より多くのマスキングデータが必要になる.しかし,マスキング効果は,周波数,音圧レベル,継続時間等の組合せによって変化する.そのため,符号化に必要なマスキングデータをすべて,聴覚実験から求めるのは,現実的に不可能である.そこで,マスキングデータを必要としない聴覚心理モデルを用いる必要がある.本研究では,人間の聴覚の特性をシミュレートした蝸牛モデルを用い,これをサブバンド・コーディングに応用した.本研究で得られた知見は、以下のように要約される.まず,聴覚実験の結果より,サブバンド・コーディングに利用可能なマスキングデータを得た.その過程で,純音による純音のマスキングで,継続時間がある値よりも大きくなると,信号のパワーの上昇による閾値の減少量よりも,周波数スペクトルの幅が狭くなったことによるマスキング量の増加の方が大きくなるために,閾値が上昇するという現象がわかった.実験で得られたマスキングデータをコーディングに使用した場合,実際には数dB程度の余裕があったものの,ほぼ最適なパラメータであると言える.蝸牛モデルに基づくサブバンド・コーディング・システムでは,マスキングデータを使用せずに,高音質かつ,96kbps(原音の1/8)での符号化が実現できた.これにより,聴覚実験データを必要としない聴覚モデルを採り入れた本システムの有効性が示された.
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