研究概要 |
本研究の目的は船体外板等の防撓材の曲げ強度,特に波浪衝撃,衝突,座礁等の事故の場合のように大変形かつ動的影響が大きい場合の強度を調べること,および,衝撃強度を取り扱う上で考慮しなければならない動的構成式の基礎的研究である.第一の問題については,傾斜して取り付けられた防撓材に衝撃曲げが作用すると,ひずみ速度による降状点上昇のために防撓材の横倒れないし断面変形が促進され,強度低下が静荷重の場合よりも早期に起こる,という予想を中心に取り上げ,実験とFEM計算によって調べた.帯板に2本の防撓材を取り付けた試験体の静的曲げ実験と衝撃曲げ実験の結果を比較することにより,前述の動的効果を調べたが,その効果の有無を明確に把握することは出来なかった.しかしながら,静的荷重,動的荷重それぞれに対する防撓材の挙動についての基礎的なデータを得た.すなわちフランジの向きの影響,弾性域での防撓材の横変形挙動,FEM計算値と実験値のよい一致等である.第二の動的構成式の基礎的研究においては,静的塑性の内部時間理論を発展させた動的構成式の定式化とその応用,剛性マトリクス安定法の動的弾塑性大変形問題への適用,動的解析のひずみ局所化における塑性硬化則と要素モデルの影響の研究等を行った.現時点ではこれらの研究結果は直接的には防撓材の問題に結びついていないが,それは今後の課題とする.
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