研究概要 |
堆積軟岩の特徴の一つとして亀裂や風化により透水性が比較的高いことが想定されるが,このような岩盤あるいは地盤内の空間利用に際しては,熱的性質の把握が重要な課題となる。亀裂を有する岩盤の含水比や空気量の違いによる熱伝導率の違いを推定するために,周期的に亀裂を有するいわゆる周期構造モデルを用いて合成熱伝導率を求め,空気亀裂の大きさが熱伝導率に与える影響について考察を行った,この手法を応用して,土を周期的に配列された球状の土粒子群と水からなる二相系と仮定して,周期構造モデルにより合成熱伝導率を求める解析的手法を開発した。 亀裂に富んだ岩盤の熱伝導の数値モデル解析に対応する実験を行うべく,高さ30cm,巾30cm,厚さ2.5cmの砂地盤モデルを用いて底部に加熱する実験を行った。使用する砂の粒径を変化させることにより,対流が支配的になる伝熱状態と対流の影響がほとんど無い伝熱状態の2ケースについて本年度購入したパソコンを用いて温度変化を二次元的に計測して解析結果とあわせてみた。この結果,二次元有限要素モデルによる数値解析においては,土の透水係数を適宜与えることにより,実際の挙動をかなり模擬できることが知られた。この場合,水と固体間の熱の相互作用を示す係数が結果にかなり影響することが知られ,熱伝導の非線形性を大きくすることが判明した。 一方,岩盤を模擬して,破砕ゾーンのある岩石要素をモデル化した数値解析を行い,透水性の高い破砕帯では,岩盤内とは全く異なる熱伝導現象が見られることが判明した。
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