| 研究概要 |
高圧の圧縮空気貯蔵に伴う亀裂性岩盤の破壊を予測するため、破壊の要因と機構について岩盤力学とともに流体力学の視点から考察、解明し、破壊予防策に関する研究を行った.成果は以下のとおりである.
1.岩盤緩み域の判定と透気性測定に関して,真空透気試験の測定データ解析法および試験結果の評価について実験・実測と数値シミュレーションを行い,同試験の有用性とデータ解析法の妥当性を確かめた.
2.岩盤の透気性と開口幅分布の関係を,数値シミュレーションによって明らかにした.
3.亀裂内地下水が上昇・回復する過程の実験と数値シミュレーションを行い,地下水の上昇経路と小さな亀裂に封入された空気の挙動を明らかにし,併せてこの現象のシミュレーション手法を開発,確立した.
4.多数の亀裂が複雑に交差する亀裂系で、地下水で満たされた亀裂へ高圧空気が侵入する過程を解析し,空気の侵入過程,小さな亀裂での地下水の流動状況,亀裂内の圧力変化について研究し,亀裂性岩盤と多孔質地盤での浸透解析の違いを明らかにした.
5.圧縮空気貯蔵の実証実験に関して,亀裂壁面での摩擦による発熱も考慮した解析を行い,漏気検知への温度測定の適用性,漏気に伴うエネルギー損失を検討した.
6.岩盤のひずみ測定に基づく逆解析手法を確立し,ロックボルトなどの岩盤補強対策についても検討した.
今後,高圧空気侵入に伴う亀裂系内の圧力の分布および変化を考慮し,また逆解析手法を活用し,亀裂性岩盤中の破壊面の推定などを行うことが可能となったと考える.
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