研究概要 |
アルミニウム合金板A5182-O材を用いて成形性データベースを完成させるとともにプレス成形AI制御システムのソフトウェアとハードウェアの開発を行った. 1)成形性に及ぼす加工速度と加工温度の影響 加工速度と加工温度を変えて,引張試験と深絞り試験を行い,成形性に及ぼすひずみ速度と温度の影響を調べ,データベースの構築を行った. 引張試験の結果より,高ひずみ速度・低温度及び低ひずみ速度・高温度領域では,材料の破断伸びは他の領域よりかなり大きくなっていることが分かった.深絞り試験の結果からも同様な傾向がみられる.従って,成形限界向上のためにはこれらの条件を適切に選択する必要がある. 2)AI制御システムの開発 曲げ加工では,加工情報をセンシングし,オンラインでデータベースの検索とファジィ制御モデルによって総合評価を行い,最適加工条件の決定と加工の制御を行う知能化V曲げ加工システムの開発を行った.その結果,従来よりも高い加工精度が得られたと同時に材料特性などのばらつきにも対応した高精度・高柔軟性の加工システムができた. 深絞り加工では,データベースと評価関数を用いて,オンラインでファジィモデルを併用した最適制御による変圧しわ抑え深絞り加工システムの開発を行った.本加工システムによって,従来よりも肉厚分布が均一で高精度な製品が得られると同時に,ブランク径や潤滑条件の違いにも対応できる高柔軟性な加工システムが得られた. 3)今後の展望 実用レベルの成形特性を明らかにし、それを基に構築されたデータベースと知的制御による最適加工プロセスを自動車ボディー用アルミニウム合金材のプレス成形に適用し、実生産での成形水準の向上を期待したい.
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