研究概要 |
半導体配線材料としてのAuおよびCu細線とAl蒸着膜との間に形成される金属間化合物が,半導体破損事故の原因となる場合がある。本研究ではAl/Au,Al/Cu間に形成される金属間化合物の種類とその成長速度を調べCu細線のリードボンディング材としての可能性を調べた。石英基盤上にAuあるいはCuを真空蒸着した後,Alを一定厚さ蒸着し,複層薄膜試料を作成した。この試料を各種温度で所定の時間等温焼鈍し,拡散および界面における金属間化合物形成反応を起こさせた。この金属間化合物の観察のためX線回折,光反射率変化を用いた。この光反射率変化を利用することにより薄膜中に形成されるAl_2Au,Al_2CuおよびAlCuの形成ならびに成長を非破壊的に捕えることが可能である。このようなX線回折結果ならびに光反射率変化の結果より,薄膜中の拡散ならびに金属間化合物形成は,バルク材に比べて極めて速く,しかもその金属間化合物の成長速度はAl/Cu系はAl/Au系に比べて非常に遅く,その面ではCu細線はリードボンディング用細線として充分使用し得る可能性があることが明らかとなった。このようなCu細線の実用化のためには,金属間化合物形成も勿論であるが,Al/Cu界面接合強度が重要となる。このような接合強度の焼鈍時間,温度依存性ならびに形成金属間化合物層厚依存性を調べた。Cu細管中にAl細線を埋め込み,各種焼鈍温度で熱処理後,インデンターを用いての打ち抜き試験により接合強度を評価した。その結果,焼鈍初期には接合強度は時間の経過と共に増加し,ある値でピークを示し,その後急速に低下する。このように界面に形成される金属間化合物は必ずしも脆いとは限らず,その層厚が薄ければ逆に接合強度を高めることが出来ることが明らかとなった。
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