研究課題/領域番号 |
04452305
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理系薬学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
辻 彰 金沢大学, 薬学部, 教授 (10019664)
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研究分担者 |
玉井 郁巳 金沢大学, 薬学部, 講師 (20155237)
寺崎 哲也 東京大学, 薬学部, 助教授 (60155463)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1993年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1992年度: 4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
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キーワード | Caco-2 / モノカルボン酸 / プロトン共輸送 / 遺伝子発現 / β-ラクタム抗生物質 / 脳毛細血管内皮細胞 / 血液脳関門 / P-糖蛋白質 / 培養細胞 / 内皮細胞 / P糖蛋白質 / ビンクリスチン |
研究概要 |
本研究は培養細胞の薬物動態研究における有用性を確立する目的で行われ、tight junctionが存在する小腸および脳における薬物の経細胞的透過に対して、我々が提唱する新しい輸送機構をそれぞれの実験系に適した培養細胞系を用いて実証し、下記に示す成果を得た。 (1)安息香酸およびサリチル酸のヒト結腸由来培養上皮細胞Caco-2におけるpH依存的輸送は、pH分配仮説に従う受動拡散透過よりも、プロトンとの共輸送系を介した二次性能動輸送に基づくものであり、これに関与する輸送系はモノカルボン酸構造を有する化合物にのみ親和性があることが明らかとなった。 (2)薬物の担体介在輸送の実証および輸送蛋白の分子機構的解析を行うために、ラット、ウサギおよびヒトの小腸上皮細胞から抽出したmRNAを注入したoocytesを用いた。その結果、oocyte膜上に発現したジペプチド輸送蛋白は、小腸刷子縁膜小胞系で得られたと同様に、種差を問わずβ-ラクタム抗生物質を共通してプロトン勾配を駆動力として輸送することが実証された。 (3)「P-糖蛋白質(P-gp)が血液脳関門において排出ポンプとして機能する」という我々が提唱する仮説を、初代培養ウシ脳毛細血管内皮細胞系を用いて実証する実験を行った。ウシ脳皮質切片およびその初代培養細胞いずれにおいても、免疫学的手法により内皮細胞血管側にP-gpが局在することが確認できた。[^3H]ビンクリスチンおよび[^3H]シクロスポリンAの血管側からの細胞内への取り込みは、種々のP-gp機能阻害剤、モノクローナル抗体および代謝阻害剤の処理により増加したことから、これらの薬物はP-gpによってATP依存的に細胞外へ排出されていることが明らかとなった。以上の結果は、内皮細胞に存在するtight junctionによって親水性物質の脳移行が制限されるばかりでなく、P-gpの排出機能によって脂溶性で細胞毒性のある物質の脳移行が制限されるという、血液脳関門の新しい概念を提示するものである。
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