研究概要 |
コンピュータアニメーションは3次元のシーンを描いたフレームの系列であると考えて,フレームの構造のモデル化・データベース化について研究した.その成果は以下の通り. 1.3次元のシーンを構成する実体を大きく被写体(3次元物体),光源,カメラの3つに分け,それぞれのモデル化とデータベース化をオブジェクト指向モデリングを用いて行った.これらの実体はオブジェクト指向データベースシステムONTOSのオブジェクトとして管理される.これらの実体を組み合わせて3次元のシーンを記述する(部分全体関係)ことによってフレームを定義する.フレーム定義に用いられる部分全体関係を使うと,フレームの内容検索は画像理解のプロセスを経由せずに行えるので便利である. 2.アニメーションデータベースのグラフィカルユーザインタフェースをTcl/Tkユーザインターフェース構築言語を用いて試作した.これを用いて利用者は,データベース中のオブジェクトをマウスの操作を通して指定するとともに変更したい属性を容易に変更できる. 3.アニメーションを試作して画像生成に関わる時間について調べたところ,生成効率が悪かった.その原因は描画される3次元物体の検索に時間がかかりすぎることである.この検索は,今後ユーザインタフェースとして3次元コンピュータアニメーションが多く用いられると予想されることから,今後の重要な研究課題である. 4.3次元物体の環境適応行動のモデル化とデータベース化について,3次元剛体のダイナミクスを例題にして研究した.そこでは3次元物体の動作を表する方程式を抽出し,これらを連立させる.その際に3次元物体の置かれた状況に応じて適切な方程式と制約を選ぶことが課題で,来年度以降にも取り組む予定である.
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