研究概要 |
本研究は,我が国での次世代軽水炉の開発に対する意志決定を行う上で必要となる沸騰二相流の熱水力学的特性の解明と軽水炉の安全解析コードで用いられている過渡二相流の数値解析の高度化を目的としている.本年度は,昨年度に引き続き高温・高圧水の高速流れにより定常状態で過熱水を形成させ,過熱水の巨視的緩和過程を機構的にモデル化するための基礎データを取得し,人為的に気泡核を形成させ緩和過程に及ぼす気液界面積濃度の影響を実験的,解析的に研究を行い,以下のこと明らかにした. (1)高温・高圧水の高速流れの圧力降下により発生する過熱水の緩和開始点に関してJoncsのモデルを修正したモデルを提唱し,緩和開始点における過小圧力,緩和開始に必要な距離と時間を説明した. (2)熱的非平衡状態は気液界面での相変化により平衡状態に緩和していく.巨視的な過熱水の緩和開始は気液界面積濃度の増加により速くなる.気泡流(αo≦0.3)では,巨視的緩和過程開始の条件は高温水の過熱度の過熱領域の通過時間による積分値と界面積濃度との間に密接な関係があり,巨視的な緩和過程の開始のしきい値としてクオリティが3x10^<-5>の値になる条件を得た. (3)気液界面熱伝達率に関する新しい相関式を得た.この相関式を二流体モデルの解析コードに組み込み,前章の緩和開始点と圧力損失の実験結果を解析して比較した結果,両者にはよい一致が見られた.
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