研究概要 |
化学発光(CL)反応を利用する分析法は,従来の吸光,発光・蛍光分析法と比較して,一般に高感度で,検量範囲が広く,装置化も容易でコスト的にも有利という特長をもっており,超微量分析への応用が注目される。しかし,CL法は必ずしも選択性に優れているとは言えず,目的成分に対する干渉に留意する必要がある。本研究は,CL法の選択性を飛躍的に向上させる方策として,干渉成分のオンライン排除システムを確立する目的で検討を行ったものである。まず,CL活性な目的成分の抽出液を,ルミノールを可溶化させた逆ミセル溶液に混合すると,ミセル界面で逆抽出が起こり,その内殻の水相内で強いCLが誘発されることを見いだした。この知見を基に溶媒抽出-逆抽出-CL検出という一連の過程を連続的に行わせる新規なCL分析法を構築した。更に,生体系での反応中心に類似した反応場である逆ミセルの特異性を明らかにした。また,ケイ酸,ヒ酸のような弱酸がルミノールのCLを増感することを見いだし,これに基づいてこれら弱酸をイオン排除クロマトグラフ法で分別し,高感度でCL検出する方法を確立した。更に水溶液内では水素化物の生成が不可能なケイ酸について,新規な固相水素化還元反応系を開発するとともにシランとオゾンとのCL現象を見いだし,両者を複合させた新しい選択的高感度定量法を確立した。
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