配分額 *注記 |
7,100千円 (直接経費: 7,100千円)
1994年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1993年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1992年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
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研究概要 |
本研究は、将来益々増大する最終アルミニウム・スクラップを、高純度のアルミニウム金属として再成させる我が国独自の技術を開発すべく溶融塩系電気化学サイクルを提案すると共に,その基本過程の一つである溶融塩系燃料電池の性能開発と評価に関する実験的検討を行ったものである。ここで提案した電気化学サイクルの特徴は,電解原料の生成過程にアルミニウム〜塩素燃料電池を構成して,アルミニウムがその製造過程で注ぎ込まれた電気エネルギーを有効に回収し、反応生成物である塩化アルミニウムを電解原料とすると共に,電池の出力を電解電力の一部として使用し,電解時に発生した塩素ガスを電池の活物質として再び利用しようとしたところにある。この電気化学サイクルを構成する三つの主要な因子のうち,アルミニウムの電解採取,粗塩化アルミニウムの昇華精製・高純度化については,当研究室におけるこれまでの開発研究により,その実現性が実証されている。本研究報告書は,残る第三の因子であるアルミニウム〜塩素系溶融塩燃料電池に関して,効率的な作動特性を把握するために,種々実験的検討を重ねた結果について述べたものである。本研究で得られた主要な結果は以下のように要約できる。 (1)、電池の出力電流〜電圧特性を解析した結果,電池性能の向上に対しては,反応抵抗に起因する電圧降下を可及的に小さくする必要がある。(2)、塩素電極の形状に関しては,孔型電極よりも溝型あるいはスリット型電極形状が,塩素ガスの還元反応界面が確実に確保できるため反応抵抗の低減に対して有利である。(3)、塩素還元反応が進行するメニスカス部分の溶融塩薄膜層中の塩素溶存量の大小が,電池の出力特性を実質的に決定する。(4)、反応抵抗とメニスカス長さとの積の値が,メニスカス長さに関せず一定であるという関係が得られた。この知見により,任意にスケール・アップした電池の性能を予め予想することが可能である。
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