研究概要 |
本研究では,大気中プラズマ溶射で作成したAl_2O_3及びZrO_2-8%Y_2O_3皮膜を活性液体Mn浸透処理法により高緻密,高強度のセラミックス複合皮膜を作成し,このような複合皮膜の物性及び液体Mnの浸透挙動と熱処理条件との関連を検討した. 1.Al_2O_3溶射皮膜に対する液体Mnの濡れ性及びAl_2O_3溶射皮膜の貫通気孔へのMnの浸透性は熱処理の真空度、即ちMn中への酸素溶解量により支配されるのが認められ、溶解酸素が少ないほど液体MnのAl_2O_3溶射皮膜への浸透・充填が充分に進行するのが認められた。(例えば真空雰囲気が≦1.33×10^<-3>Paの場合)ZrO_2皮膜の場合には同じ傾向が存在するが、Al_2O_3溶射皮膜の気孔より大きいZrO_2皮膜の場合は液体Mnの有効浸透に対する酸素溶解量範囲はより大きいのが認められた。(例えば真空雰囲気≦1.33×10^<-1>Paの場合) 2.Al_2O_3溶射皮膜の貫通気孔等次陥に浸透・充填した酸素を含んだ液体Mnは熱処理の保持時間の増加にと伴い、皮膜中のAl_2O_3粒子との反応によるMnAl_2O_4スピネルの形成量が増加するのが認められた。このような皮膜中の気孔などの諸欠陥はAl_2O_3粒子との反応により形成されたMnAl_2O_4スピネルにより充填され、組織が緻密化したAl_2O_3-MnAl_2O_4高融点の複合皮膜の形成が認められた。 3.複合皮膜ーFe基鋼素材界面において、MnとFeの相互拡散により界面で化学反応が生じ、さらに、界面付近の素材測に生じた分散型酸化マンガン微粒子の存在により界面での応力を緩和させるのが認められた。 4.Mn浸透処理によるAl_2O_3-MnAl_2O_4複合皮膜の硬さは熱処理時間の増加と共に増加され、3.6ks以上処理した場合は皮膜全体において約1500Hvになるのが認められた。組織が緻密化されたこのような複合皮膜の破壊応力は溶射したままのAl_2O_3溶射皮膜より約2.6倍向上するのが認められた。
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