研究概要 |
1.リチウム電極の反応速度に及ぼす界面構造の影響 エチレンカーボネート(EC)を主溶媒とする混合溶媒にLiPF_6,LiCF_3SO_3などを溶解させた電解液中で,黒鉛質炭素繊維,BC_2N,およびニッケル基板上に析出したリチウム電極を用いたときの充放電反応の速度,可逆性,などの特性について検討した。またBC_2Nを基体とするリチウム負極でもリチウムのインターカレーションと脱インターカレーションによって充放電が可能であることを明らかにした。 次いで,石炭コークス系黒鉛質炭素繊維に対して比較的安定なエチレンカーボネートをベース溶媒とする混合溶媒にLiPF_6あるいはLiCF_3SO_3などを溶解させた電解液について検討したところ,ECとジメチルカーボネートの混合溶媒に1mol dm^<-3>のLiCF_3SO_3を溶解させた電解液が最も充放電効率が高く,第1回目の放電容量は200mA hg^<-1>以上で最も優れた電解液であった。このような実験結果から炭素電極の構造の違いが,それに適する電解液の種類に大きな影響を与えていることが推定された。 2.リチウム電極/添加物を含む有機電解液界面構造のキャラクタリゼーション Mg,In,Ga,Biなどの金属イオンや2-メチルフランなどの不飽和複素環化合物あるいはベンゼンなどの芳香族化合物を微少量含む有機電解液中では,リチウム金属の充放電の電流効率が向上した。 更に,リチウム二次電池の電解液にAlI_3と2-メチルフラン(2MeF)を添加すると,リチウム金属負極の充放電の電流効率が向上し,充放電をくり返しても効率の低下がほとんど認められないことを明らかにした。これはリチウム電極の上にLi^+導電性のLiIのほかに,Li-Al合金,2MeFとLiの反応による導電性の皮膜などが生成し,リチウムと電解液の副反応が抑制されたためであると考えられた。
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