研究課題/領域番号 |
04453085
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 東京大学, 工学部, 教授 (50133096)
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研究期間 (年度) |
1992 – 1993
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研究課題ステータス |
完了 (1993年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
1993年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1992年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | シクロデキストリン / フェノール / ホルムアルデヒド / 修飾シクロデキストリン / 選択的合成 / 分子複合体 / パラ選択性 |
研究概要 |
近年、地球環境の保護、省資源、省エネルギーなどの観点から、有機合成反応を高選択的に進行させる工業触媒の開発の重要性がますます高まっている。我々は、これまでに、環状のオリゴ糖であるシクロデキストリンが特異的な基質取り込み能を有することを利用し、これを触媒として種々のファインケミカルをほぼ100%の選択性で、しかも高収率に合成することに成功した。しかし、シクロデキストリンは、非修飾のままでは触媒能を持つ官能基が水酸基のみであり、適用できる反応の種類に限界がある。従って、さらに広範な有機合成反応に対して選択的合成能を有する触媒を開発するためには、シクロデキストリンに化学修飾を加えて、触媒能ならびに空洞の化学的環境を改造する必要がある。 本研究では、シクロデキストリンにヒドロキシプロピル基をはじめとする様々な官能基を導入することにより、フェノールとホルムアルデヒドから4-(ヒドロキシメチル)フェノールを、またフェノールとアセトアルデヒドから4-(ヒドロキシエチル)フェノールを選択的に合成することに成功した。また、これらの反応系に対してNMR測定を行い、生成する分子複合体の構造を決定した。複合体中ではシクロデキストリンの一級水酸基側に導入された官能基の水酸基とホルムアルデヒドとの間に水素結合が形成され、ホルムアルデヒドがフェノールのパラ炭素の近傍に固定され、さらに活性化される結果、目的とするヒドロキシメチル化ならびにヒドロキシエチル化がパラ位で選択的に進行することが明かとなった。これは、修飾シクロデキストリンによる選択的合成の反応機構を物理化学的に解明した初めての成功例である。
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