研究概要 |
1.有機ホウ素化合物のクロスカップリング反応による炭素-炭素結合形成.アリールまたはビニル型ハロゲン化物のクロスカップリング反応をパラジウム触媒とリン酸カリウム存在下行い,カップリング体である共役ジエン,ビアリールの選択的合成に成功した.反応は分子内カップリング,ヨードアルカンと9-アルキル-9-BBNの反応による初めてのアルキル-アルキル直接カップリング反応,また一酸化炭素存在下でのケトン合成に応用した.また,中性下における炭酸プロパルギルと有機ホウ素化合物のカップリング反応はアレン型カップリング体を収率よく与えた.反応の置換基効果,立体効果などを調査し反応機構を明かにした. 2.ビニル型ホウ素化合物の共役付加反応によるγ,δ-不飽和ケトン合成.ビニル型ホウ素化合物は三フッ化ホウ素存在下共役エノンに1,4-付加しγ,δ-不飽和ケトンを収率よく与えることを見いだした.三フッ化ホウ素の触媒効果を明かとし,有機合成への応用を調査した. 3.ボリルメチル亜鉛試薬のカップリング反応によるアリル,ベンジル型ホウ素反応剤の開発.ボリルメチル亜鉛試薬と1-アルケニルまたはアリールハロゲン化物のクロスカップリング反応をパラジウム触媒存在下行い,アリル,ベンジル型ホウ素化合物の選択的合成に成功した.反応を分子内アリルホウ素化反応およびo-キノジメタン合成に応用した. 4.ハロボレーション反応を利用したアリル型ホウ素反応剤の開発.末端アルキンのブロモボレーション反応,有機亜鉛試薬とクロスカップリング反応,次にLiCH_2Brによる増炭素反応を組み合わせアリルホウ素化合物の立体選択的合成に成功した.この酒石酸ジオールエステル誘導体はアルデヒドとの反応において高いエナンチオ選択性を示し,相当するホモアリルアルコールを94%eeで与えた.
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