研究概要 |
1.SLG^8,SLG^<12>、SRA^1,SRA^3遺伝子のクローニング 開花前日、あるいは、開花当日の柱頭から作ったcDNAライブラリーより、タンパク質の配列から推定した合成プローブを使ってスクリーニングした結果、S^8柱頭のライブラリーからSLG^8,SRA^1遺伝子をクローニングすることができた。このクローンを使って、S^<12>株のライブラリーからS^<12>,SRA^3遺伝子をクローニングした。これらの塩基配列を決定すると共に、アミノ酸配列を相互に比較し、構造的な特徴を明らかにした。 2.SRK遺伝子の確認 S^8,S^<12>株について、柱頭のmRNAを基にした1本鎖cDNAをプローブとして、SLGのC未端の保存された部分、および、キナーゼの保存された配列をプライマーとしてPCRを行い、PCR産物を得た。解析の結果、それらは明らかにSRK遺伝子の1つと想定され、B.campestrisについてもSRKの存在が確認された。 3.SRK^<12>遺伝子のクローニング PCR産物を基に、ライブラリーから、SRK^<12>遺伝子をクローニングし、塩基配列を決定した。SRK^<12>遺伝子のS-レセプター部分とSLG^<12>遺伝子との相同性は76%で、よく類似していた。キナーゼ部分の配列は極めてよく保存されており、自家不和合性がタンパク質のリン酸化を介した系で反応が進行することを窺わせた。 4.各種の薬剤で柱頭を処理し、カロース形成と花粉管の伸張を観察したところ、自家受粉の場合でもカロース形成が認められないが、花粉は伸長し得ない場合、また、逆に、他家受粉でもカロースが形成される場合(花粉管は伸長する)が観察され、カロース形成は自家不和合性の二次的な反応であると結論づけられた。
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