研究概要 |
血小板活性化因子(Platelet activating factor;PAF)は、血小板凝集、好球中および単球活性化作用、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血圧降下時の様々な作用を有し、喘息、腎炎等の各種病態のメディエーターとして知られる物質である。従って、このPAFの拮抗作用を示す化合物は、これらの病気の予防、治療薬として期待される。 本研究では、沖縄産の海洋無脊椎動物(海綿、ホヤなど)および海洋微生物(植物プランクトン、バクテリア、カビ)を生物材料として、これらの生物の抽出物についてPAF拮抗作用の指標としてスクリーニングを行った結果、骨格の異なるPAF拮抗物質がいくつか見い出された。海綿Luffariella sp.より単離したManoalide(IC_<50>値,0.5μg/mL)と新規セスタテルペンLuffariolide A(IC_<50>値,0.5μg/mL)にPAF産生阻害(好中球をA23817で刺激したときのPAF産生阻害)活性が認められた。一方、海綿Theonella sp.より単離したBistheonellile A(IC_<50>,0.05μg/mL)およびSwinholide A(IC_<50>,0.5μg/mL),海綿Niphates sp.より単離した新規ピリジンアルカロイドNiphatesine A(IC_<50>,O.5μg/mL),海綿Hyrtios sp.より単離したHeteronemin(IC_<50>,0.2μg/mL)に、それぞれPAFによる血小板凝集阻害活性が認められた。これらの化合物と関連した構造を有する化合物の中から優れたPAF拮抗物質が見つかることが期待される。
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