研究概要 |
1.2-Hydroxy-1'-methylzeatin(I)の両対掌体を合成するために,D-及びL-alanineから出発して[R-(E)]-及び[S-(E)]-4-amino-2-methyl-2-penten-1-ol ethanedioate[(R)-II及び(S)-II]を合成した.Et_3Nの存在下2-hydroxy-6-methylthiopurineに(R)-II及び(S)-IIをそれぞれ反応させることで(1'R)-I及び(1'S)-Iが好収率で得られた.各種スペクトルの比較から,緑藻から単離された新規サイトカイニンはIの構造を有することが判明し,また,サイトカイニン活性の比較によって,天然品は(1'R)-Iの絶対構造を有することが推定された. 2.D-及びL-alanineから[R-(Z)]-及び[S-(Z)]-4-amino-2-methyl-2-penten-1-ol ethanedioate[(R)-III及び(S)-III]を合成し,これらと6-chloropurineあるいはその9-ribosyl体と反応させることで,(1'R)-及び(1'S)-1'-methyl-cis-zeatin[(1'R)-IV及び(1'S)-IV]あるいはそれらの9-ribosyl体[(1"R)-V及び(1"S)-V]を合成した. 3.上記合成法に類似した反応経路で,(1'R)-及び(1'S)-N^6-(1,3-dimethyl-2-butenyl)adenine[(1'R)-VI及び(1'S)-VI]やそれらの9-ribosyl体[(1"R)-VII及び(1"S)-VII]を合成した. 4.cis-Zeatinの新規合成法として,「α-アミノアルデヒド/オレフィン化法」を開発した.この応用で9-(2-deoxy-β-D-ribofuranosyl)-cis-zeatin(VIII)を合成することができた. 5.タバコ・カルス検定法及びレタス種子発芽検定法によって,上記の天然型関連新規サイトカイニン類[(1'R)-I,(1'S)-I,(1'R)-IV,(1'S)-IV,(1"R)-V,(1"S)-V,(1'R)-VI,(1'S)-VI,(1"R)-VII,(1"S)-VII,及びVIII]や既知の天然サイトカイニン類のサイトカイニン活性を調べ,構造-活性相関について興味ある知見を得ることができた.
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