研究分担者 |
加瀬 友喜 国立科学博物館, 地学研究部, 室長 (20124183)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (80251411)
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (50160487)
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
阿部 勝巳 東京大学, 理学部, 助手 (80151091)
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研究概要 |
本研究は,サンゴ礁周辺の海底洞窟対象として,隠生的軟体動物の生体・遺骸の調査を行い,その多様性・生活史の特徴と進化生物学上の意義を明らかにすることを目的として平成4年度以来続行されてきた.これまでに沖縄本島(伊江島),宮古諸島(下地島,伊良部島),与那国島,小笠原諸島(父島列島)などの多数の洞窟を熟練ダイバーの協力のもとに調査を行い,多量の資料を得た.また,別途に入手したフィリピン,パラオや日本各地の資料との比較を行い,特に洞窟性二枚貝種の特徴と地理的分布を明らかにした. その結果,洞窟性の二枚貝群には次の特徴が共通的にみられることが明らかとなった.1)小数のものを除くとほとんどが微小種である,2)捕食にたいして無防備な″生態的原始性″を示す種が多く,かなりの数の遺存種がある,3)大半が未記載種で,深海にしか知られていなかった属を多く含む,4)幼形進化(プロジェネシス)を示す種が多い,5)深海や寒海に似て卵黄栄養型や直達発生型の種が多い,6)卵サイズを反映する原殻Iの大きい種が多く,いわゆるK戦略が卓越する,8)洞窟奥部には固有種がみられるが,幼生が浮遊しないにもかかわらず,西太平洋に広く分布する種が少なくない.15EA03:これらの特徴は,外界に比べて捕食圧が低く,光合成が行われない貧栄養の環境に対する適応によると理解される.なお,成果の一部(琉球の資料の分類・記載とその進化学的意義)はすでに公表した.
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