研究概要 |
花バスは“仏花"等として,ある種のイメージが埴えつけられ,人々の観念の中のハスは現実のそれとかなりかけ離れた存在となっている。そのようなハスに対し,人々が現実の姿に接したとき,それまで抱いていたイメージとの間のギャップをどう埋め,調整し,どのような観賞内容に達していくかといった「観賞」についての学習効果等をみるための研究である。 昨年と同じメンバーに「ハスモニター」を委嘱し,東京大学農学部附属緑地植物実験所において,一定期間をおいて,3回,ハスを観察・観賞し,その都度アンケートに答えてもらう方法で実験を実施した。得られた結果はつぎのようである。 1.本年では,ハス観賞前に抱いていたイメージと実際に観賞した後のそれとの間の乖離の度合いは,昨年の場合にくらべ著しく小さくなっている。それは,昨年の学習により,ハスのイメージがより現実のものに即するものとなっていることによるものとみられる。 2.ハスの観賞内容には,第1回目から2回目では変化がみられたが,第2回目から3回目ではほとんど変化がみられなかった。 3.本年では,昨年の場合にくらべ.ハスの観賞の変化は,第1回目から2回目,第2回目から3回目のいずれにおいても小さくなっていた。 4.ハス観賞の深化,学習効果をみるため,実際に観察したハスの花色を,カラーコピー機上で模式化し再現した類似のものから選び出すという実験を行ったが,有為な結果は得られなかった。今後の課題としたい。
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