研究概要 |
本研究は,地域環境情報に関するメッシュデータベース(地域環境データベースと呼ぶ)を用いて,合理的な環境計画を策定するための評価手法を開発しようとするものである。 初年度の平成4年度には,首都圏,東京都,逗子市を事例に,地域環境データベースの構築を行った。具体的には,既存のデータベース(国土数値情報,細密数値情報など)にオリジナルなデータを加え,またデータベース利用が容易なように,データベース・マネジメントシステム(DBMS)の開発を行った。その結果,たとえば首都圏では,地価と環境評価の関係,東京都では,環境改善効果の評価,逗子市では,宅地開発における評価指針が得られるような,データベースの整備を行うことができた。 また,土地環境,生物環境,アメニティ環境について,既存モデルの改善や,アンケートによる新たなモデルの作成などを行い,汎用性のある評価式を開発した。 最終年度の平成5年度には,平成4年度結果を基礎に,環境計画への応用について研究をすすめた。土地環境,生物環境,アメニティ環境を総合化した総合評価のあり方について検討した結果,レーダーチャート式の表示が最も妥当であると判断した。また,地域環境評価モデルを用いて,今後の環境悪化の進展を予測し,それを防止するためにはどういう施策が必要かを示すための「将来環境の予測と評価」手法を開発し,さらにシナリオライティング手法による政策オプションの効果を見積もる手法について具体的に検討した。結果はきわめて良好であった。 以上の研究結果に加えて,研究代表者,分担者らがこれまで行ってきた研究成果にもとづき,総合検討を行い,報告書を作成するとともに,「環境資源と情報システム」の成書にまとめ,広く公表することにした。
|